SSブログ

2013年3月の読書記録 [読書]

「今年は舞台を観る」と言っておきながら、3月にして早々に月間観劇数ゼロ…大好きな「ベルサイユのばら」をスキップしてしまった。紫苑ゆうさんが東京へトークショーしにいらしてたのに、そちらも欠席でした。熱を出して倒れたのと、あとはひたすら仕事だったなあ。何だかなあ…

読了が積み上がらないモヤモヤを埋めるためだけに手に取った「グリーン・マイル」、十数年ぶりに読みましたが面白かった!! 藤沢周平の長編も、シュリンクの短編新刊も小説らしい小説で、くるくる変わるお天気に翻弄されながらも読書している時間は幸福感にうっとり浸った3月でした。

読んだ本の数: 8冊
読んだページ数: 1,604ページ

風の果て〈新装版〉 下風の果て〈新装版〉 下
最初は退屈だったのに、どんどん引き込まれてしまった。時代小説なのにサラリーマン小説、設定は江戸時代なのに「あるある」。人生の階段を昇って得るものと失うもの。上から見る景色、昇りつめた者にしか見えない魔界。「蝉しぐれ」と合わせ鏡のような物語だった。どちらの結末が良いとか悪いとかいうものではなくて、お福様の言葉を借りるなら「きっとこんなふうに終わる」ものなのだ
読了日:3月2日 著者:藤沢 周平


夏の嘘 (新潮クレスト・ブックス)夏の嘘(新潮クレスト・ブックス)
シュリンク2冊めの短編集。短編も長編も安定的に良い作品を書く、安心して読める作家。そんな場所があったらぜひ行ってみたいと思わせる風景描写も相変わらず。どの作品にもキラキラと印象に残るフレーズが出てきて、しかも作品ごとにメリハリがあって飽きない。そしてやっぱり原書を読みたくなる。ひとつ気になったのは冒頭「シーズンオフ」に出てくるオーボエ奏者と主人公の関係。何だか意味深長だったのはオーボエの持つサウンドのせいだろうか
読了日:3月19日 著者:ベルンハルト シュリンク


グリーン・マイル〈1〉ふたりの少女の死 (新潮文庫)グリーン・マイル〈1〉ふたりの少女の死(新潮文庫)
奥付を見ると平成11年とある。十数年ぶりの再読。初読の際は何のことやら分かっていなかったけれど、改めて読んでみると本気で面白い。最初の巻は伏線。ストーリー以上に著者まえがきが主要コンテンツなのかも
読了日:3月21日 著者:スティーヴン キング


グリーン・マイル〈2〉死刑囚と鼠 (新潮文庫)グリーン・マイル〈2〉死刑囚と鼠(新潮文庫)
全部読み終えてみると、ここもまだ伏線。時系列が行きつ戻りつなのも意味があると分かる。独居房がカラになったある日、「もうこの仕事は続けられない、辞表を出そう」となるくだりは、後半を読むにあたって尾を引いた
読了日:3月22日 著者:スティーヴン キング


グリーン・マイル〈3〉コーフィの手 (新潮文庫)グリーン・マイル〈3〉コーフィの手(新潮文庫)
初読の際いちばん印象に残ったのが3巻。刑務所を扱った小説と思っていたところに初めて非科学的な事件が入り込む。癒し。初読の際は違和感を持った記憶があるが、実はこれこそが小説を読む醍醐味だと思えるようになってきた
読了日:3月23日 著者:スティーヴン キング


グリーン・マイル〈4〉ドラクロアの悲惨な死 (新潮文庫)グリーン・マイル〈4〉ドラクロアの悲惨な死(新潮文庫)
悪役を悪役として描き、救いがない。それだけがこの小説のモヤモヤポイント。ウォートンもパーシーも本当は救われたかったのではないか。ドラクロアの悲惨な死という事件で曖昧に畳まれてしまったけれど、彼らの「明るい面」を見られなかったポールのほうが弱いのではないか
読了日:3月23日 著者:スティーヴン キング


グリーン・マイル〈5〉夜の果てへの旅 (新潮文庫)グリーン・マイル〈5〉夜の果てへの旅(新潮文庫)
ハラハラしながら読む。冒険がスリリングだからではない。冒険の登場人物が皆もろくて弱い存在だから。看守という絶対的に力を持たされた男たちがビビリ続けて行って帰ってくること、実は場を動かしているのは鎖に繋がれたコーフィであること。終盤に向けて文章にも重みが出てくる
読了日:3月23日 著者:スティーヴン キング


グリーン・マイル〈6〉闇の彼方へ (新潮文庫)グリーン・マイル〈6〉闇の彼方へ(新潮文庫)
さすがに最終巻はページ数が多い。たぶんアラバマの分。死に行く男から生命をもらったポールが、生きて多くを目撃し体験してしまうこと、その象徴がアラバマ。次の巻を楽しみに待つ小説でもあり、一気に読んで奥の深さに打ちのめされる小説でもある
読了日:3月23日 著者:スティーヴン キング


読書メーター

滑り込みセーフ!? 2013年2月の読書記録 [読書]

読書メーターが月間読書記録を表示してくれるのは次の月の終わりまで。ギリギリのピックアップになってしまいました。

2月は人生初体験の名古屋・中日劇場へ。宝塚雪組公演「若き日の唄は忘れじ」を観てきました。
94年の初演は本当に思い出深い作品。この公演が終わってすぐに紫苑ゆうさんの退団が発表され、揺れる心を救ってくれたのが、少年から大人になる文四郎に周りの大人がかけてくれる言葉であり、大人になった文四郎が語る言葉たちだった気がします。久々にナマで観る「蝉しぐれ」の舞台、ストーリーに関係なく序盤からウルウルしっぱなしでした。幸せな観劇体験でした。

本は5冊。割とバラバラ…

読んだ本の数: 5冊
読んだページ数: 1,647ページ

ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫)ゴシックとは何か―大聖堂の精神史(ちくま学芸文庫)
キッカケにはなるけど、この本だけでは「ゴシックとは何か」はよく分からん。たぶん実際に見て感じないと分からない。終盤でケルン大聖堂をばっさり片付けられてしまい、ちょっと切なかった…
読了日:2月1日 著者:酒井 健


地下旅! (文春文庫)地下旅!(文春文庫)
師匠の新作(真顔)。相変わらずまったりと、揺られてどこかへ行き、帰ってくるエッセイ。近場で遠くに思いを馳せ、遠くで東京を再認識する。網の目でしかも地下、とっつきにくい地下鉄も、いざ乗ってしまえば妙な安心感があるのなら、やっぱり春を待って出かけてみたくなる…
読了日:2月9日 著者:酒井 順子


鬼才縦横 〈上〉―小林一三の生涯 (日経ビジネス人文庫)鬼才縦横 〈上〉―小林一三の生涯(日経ビジネス人文庫)
ははは!! 明治の経済界は呑気なものだったのだなあ。逸翁も若いころはダメサラリーマンですが、これしきで驚いていては宝塚ファンは務まらないのだ。マジに宝塚歌劇を観ていて覚える浮世離れ感はここから来ていたのか…と深淵を覗いてしまった気分でした。ここからどう大成するのかしないのか
読了日:2月16日 著者:小島 直記


鬼才縦横 〈下〉―小林一三の生涯 (日経ビジネス人文庫)鬼才縦横 〈下〉―小林一三の生涯(日経ビジネス人文庫)
やはり逸翁は型破りな人だった。普通の人の感覚では片付かないエピソードばかり。最後、普通の男に戻ってしまったという話が印象的だった。スクリーンの中から飛び出してしまったような感じだろうか
読了日:2月26日 著者:小島 直記


風の果て〈新装版〉 上 (文春文庫)風の果て〈新装版〉 上(文春文庫)
回想と現在が交互に出てくる構成ってベタだし退屈、と思っていたのに途中から面白くなってきた。現在の出来事と回想でのプロットも何気にリンクしていて、ゆっくり読むはずが気付けば最後まで…後半も楽しみです
読了日:2月28日 著者:藤沢 周平


読書メーター

蒲焼の [読書]

香は高し 夕涼

街行く人の賑わしきかな

…小林一三

帰ってきた読書記録: 2013年1月 [読書]

毎年お正月には「今年こそ、たくさん歌って、たくさん舞台を観て、たくさん本を読む」と誓います。
でも夏くらいには日々のあれこれに押し流されてうやむやに…何だかそんな自分がすごく悔しかった昨年の年末。
「歌のために泣かない」が信条なのに、久々に他人が歌うのを見て嗚咽しながら帰宅、という情けない体験をしました。
今年は少し強情なくらい、歌と舞台と読書に時間を使いたいと思います。年末に、数年後に後悔したくないから。


2013年1月の舞台: 2作品
・日生劇場「シラノ」…マジ泣きした。素晴らしかった。ミュージカルじゃないバージョンも興味あり
・東京宝塚劇場・星組公演…十輝いりす氏のリーゼント姿にひと目惚れ。これまで全くノーマークだったのに自分でもビックリ


2013年1月の読書記録
読んだ本の数: 7冊
読んだページ数: 2,315ページ


朝霧 (創元推理文庫)朝霧(創元推理文庫)
思い立って新年最初の再読。初心に戻れる一冊。「山眠る」の終盤は、喋ってる本人が何を言いたいのか分からず、読んでいるほうもワケ分からないのに、いつ読んでも涙が出てしまう。このくだりと、あとは老教授の言葉を読み返したくて何度でも手に取ってしまう
読了日: 1月2日 著者: 北村 薫


隠し剣秋風抄 (文春文庫)隠し剣秋風抄(文春文庫)
年始の大掃除で邂逅し数年ぶりに再読。「武士の一分」も最高に良いけれど、他の作品も味わいがあってしみじみ良いなあ…見た目や日ごろの行いではなく、一瞬に、ひと太刀に全てを賭ける潔さ、必死さにこそ、人のカッコ良さがある。そこまで表現しての実写化・舞台化は難しいだろうけれど、誰かが挑戦するなら全力で応援したいな~と妄想
読了日: 1月10日 著者: 藤沢 周平


逆軍の旗 (文春文庫 (192‐11))逆軍の旗(文春文庫(192‐11))
東京にドカ雪が降った日に再読。こういうグズグズに終わる小説も書けてしまうところが藤沢周平の魅力だと思う。特に表題作、仮にも天下人になったのに空回りする光秀など、読んでいて手にじっとり汗がたまりそうな感じも含めてコント。「幻にあらず」も、歴史上の偉人とされる、しかもいい大人が、思わず弱音を吐いてしまうところが心底ジーンとくる。「あとがき」にもあるように、こだわりの題材で楽しみながら書いたのが分かる。読む側のバイオリズムによって受け止め方が圧倒的に違ってくるのも、ちょっと話を引きずる読後感も心地良い
読了日: 1月14日 著者: 藤沢 周平


蝉しぐれ (文春文庫)蝉しぐれ(文春文庫)
お正月恒例の再読。いつ読んでも心に沁みるフレーズに邂逅する本。でも今年は純粋に「罠」以降の展開にハラハラドキドキしながら読んでしまった。読むときのテンションによって伝わってくるものは違うけれど、やはり年初に心を整えてくれる本だと思う
読了日: 1月18日 著者: 藤沢 周平


植物図鑑 (幻冬舎文庫)植物図鑑(幻冬舎文庫)
タイトルから植物の話と推測でき、著者名からベタ甘であることは予測できたが、予想外に食べてばかりの話だった。きゅんきゅんした、料理は真似してみたくなった…と定型の感想しか出てこないのが口惜しいが、やはり終盤にかけての展開と結末は「読んで良かった」と思わせて流石である
読了日: 1月22日 著者: 有川 浩


ベルリンの壁―ドイツ分断の歴史ベルリンの壁―ドイツ分断の歴史
う~ん、この独語和訳は…大学生と大学の先生しか読まない論文仕様の日本語。テーマ別かつ時系列に「壁」史が簡潔にまとめられている。視点を人類の歴史・全世界へと広げると、「壁」はベルリン以前にも以降にも存在するし、世界中に存在する。その事実と、「壁」の歴史を清算することが本来的には不可能なこと、ドイツだけの問題たり得ないことを提示し、読者に示唆を与えている点で、崩壊から20年を経ての著作としての役割も果たしている本だと思う
読了日: 1月23日 著者: エトガー・ヴォルフルム


ギュンター・グラス 「渦中」の文学者 (集英社新書)ギュンター・グラス 「渦中」の文学者(集英社新書)
「渦中」にいるのは確信犯。とにかく何にでも首を突っ込み、物議を醸す髭のおじさん。それが文学者の使命であり、戦争の時代を生きた者の使命である。すぐに難しく考えてしまうところ、発言し表現するところが典型的なドイツの古老人という感じで引力をすごく感じるけど、やっぱりこの人の著作は分厚くて、そして難しいそうです。そうですか…
読了日: 1月30日 著者: 依岡 隆児


読書メーター

年初恒例の一冊 [読書]

仕事の帰り、ぼさ〜っとしながら歩いていたところ、
段差で躓いて頭から転倒、肋骨と膝を派手に打ってしまいました。むちゃくちゃ痛い…
しかし状態を確認せずにそのまま書店へ行き、小声で呻きながらも長居してきました。
幸い大したことなかったですが、皆さん段差には注意しましょう。


今年も儀式のように、この本を開きました。
お正月に読み返すようになって何年になるでしょうか。
今年は舞台の再演もあり、少し特別な気分で読み始めます。
130108-230719.jpg

2012年4月の読書記録 [読書]

連休明けたら急に夏のお天気になって、そして急に…職場が繁忙期になっていました。
もうずっと〆切に追われる毎日、いつの間に月の半分が終わっていたのやら目が点です。
ここで「睡眠時間がほしい」と思うか「ショートスリーパーになりたい」と思うかで自分の仕事中毒度が分かるのですが、何だか数年ぶりに後者でした。

4月は低血圧なのか頭がぐらぐらする症状がずっと抜けず、かなりテンパッてました。春はたいてい似たような症状なのですが、今年は特にキツかった。イースターをしっかりお祝いできないと、何となく物足りないなあ。歳を重ねて改めて思う、やっぱり健康って大切。

NHK大越さんのご著作が思いのほか良かったです。あとは苦手意識があってここ数年ちょっと敬遠していた翻訳モノをさっくり2冊。世界は広い。世界を見せてくれる本は楽しい。通勤かばんに文庫本が入っている幸福を味わった毎日でした。

読んだ本の数: 5冊
読んだページ数: 1,925ページ

アウシュビッツを一人で生き抜いた少年 A Lucky Child (朝日文庫)アウシュビッツを一人で生き抜いた少年 A Lucky Child (朝日文庫)
大人になってからの仕事の話よりも、子供のころに体験した話のほうが圧倒的に説得力が強かった。それが全てを物語っている気がする。あんなに簡単に人が殺されるなんて。あんなに簡単に、人と人が憎しみ合う構図は出来上がって、それを解消させるのはこんなに難しい。全世界で今も尾を引く問題を、昔ドイツで起こった話として片付けないためにも、伝えられるべき物語だと思う
読了日:04月10日 著者:トーマス・バーゲンソール


高慢と偏見〔新装版〕 (河出文庫)高慢と偏見〔新装版〕(河出文庫)
これは面白い。ストーリーもさることながら、登場人物それぞれに個性的で憎めないところが良い。まわりくどい翻訳も原文のまわりくどい世界観を味わえて好きだなあ。社会はずいぶん変わったけれど男性も女性も考えることや行動はあまり大きく変わっていない印象で、これが200年前に書かれた外国文学であるという点も興味深かった
読了日:04月17日 著者:ジェイン・オースティン


ニュースキャスター (文春新書)ニュースキャスター(文春新書)
「伝えるニュースの重みや、取材で出会う人々の言葉の力を前にして、私は書かずにいられなくなる」…喋りが仕事のキャスターが書いた本だと軽く構えて手に取ったが、腹にこたえる素晴らしい本だった。報道の可能性と限界、震災を機に考えたこと。仕事に向き合い、ニュースに向き合い、ニュースにならない事象に向き合う。職業人として、また個人として走りながら考えた様々なトピックが、記者出身ならではの豊かな言葉で綴られ、こちらも考えさせられる
読了日:04月21日 著者:大越 健介


女流阿房列車 (新潮文庫)女流阿房列車(新潮文庫)
面白エッセイストにして鉄子界のカリスマ・酒井順子師匠による鉄道ムチャ乗り体験記。びっくりするほどムチャでくだらないルートに次々挑戦する、とにかくハードな企画。行程が長すぎて殆んど端折られていたり、寝ていた話と食べていた話がメインだったりするのに、読んでいて何だか羨ましくなってしまうのはさすが。そして当然の反応ながら、鉄道で遠くへ行きたくなってしまった…
読了日:04月27日 著者:酒井 順子


回天の門 (文春文庫)回天の門(文春文庫)
久々の藤沢作品初読、こんな作品もあったんだ…というくらい新鮮。そして藤沢作品にしては珍しく自分的に退屈だった。実在した人物の生き方が波乱万丈すぎて、フィクションの入り込む隙がなかったという印象。そしてなぜ人はこんなに幕末モノが好きなのか…何となくは理解できた気がするものの、いまいち感情移入できず、藤沢作品であるという安心感だけで読み終えました。最後にタイトルを使ってまとめるくだりを含め、やはりこの人の文章は心地良い
読了日:04月30日 著者:藤沢 周平


読書メーター

本と栞 [読書]

2巻の終盤で気付いた
この本と栞の組み合わせ…ミラクル
120511-233427.jpg

2012年3月の読書記録 [読書]

あの震災から1年。人生観や固定観念なんて、たった一瞬の出来事で変わってしまうものなのだと感じたことが、自分的には最も印象的でした。人間いざというタイミングでどんな本性が出るものなのか、平時であれば見ないですんだはずの、できれば一生見ないで過ごしたかった他人の内面の、すごく深いところを覗き見てしまった後味の悪さもありました。また、これまで拠って立っていたところの科学や文明や進化というものがイマイチ信じられなくなったとき、肯定せず全否定せずにどう折り合いをつけるかは難しく、我々にはそういったトピックについての議論の場がないなというのも感じました。テレビの討論番組も雑誌もデモ行進も、議論が一方通行に見えて私には消化不良でした。…って文句だけ言っている自分にも消化不良だったりして、このフラストレーションをどう前向きに、明るい未来のために持って行くか考える時間が多く、良くも悪くも「考える」に費やす時間の多い1年間でした。

まだ深い悲しみの中にいる人、不自由な生活を強いられている人はたくさんいるはずです。そしてその大多数の人たちの心の痛みを、東京で生活する自分は、分かっているつもりでも決して分からないのだということを受け入れなければならないと思います。

答えはあるのに問いが見えない、議論しているようで実は思考停止している気がする、そんな違和感を抱きながらゆらゆらしていた1年間。3月11日もそんな迷いの中で迎えましたが、人生の先輩との会話の中で「人生は一度きりだから」という言葉を聞き、何だか雷に打たれたような気分になった日でした。何でも良いから、とにかく何かを感じる日にしておきたいですよね、3月11日。

おお、その後から急に読書のペースが上がってますね~。

読んだ本の数: 4冊
読んだページ数: 1,387ページ

チャイコフスキー・コンクール: ピアニストが聴く現代 (新潮文庫)チャイコフスキー・コンクール: ピアニストが聴く現代(新潮文庫)
なぜ今まで手に取らなかったんだろうと思うくらい(それは文庫になっていなかったから)面白かった。コンクールの笑える話と笑えない話、人間模様や演奏手法から見えてくる社会・国家・歴史・経済、音楽はどこから来てどこへ行くのか…音楽以外の分野にも当てはめて考えられる話は多いのではなかろうか。音楽の道を究めた著者の、音楽以外の分野(エッセイ)で読者を引き込む力にも圧倒される
読了日:03月13日 著者:中村 紘子


三匹のおっさん (文春文庫)三匹のおっさん(文春文庫)
有川作品のなかでは設定がぶっ飛んでなくて、作者の存在を意識せずに読める作品でした。それでもほっこりする話あり、小さな恋の物語あり、そして肩の力を抜いて推理できる謎解きありで一気読みしちゃいます。ただ私の肌感覚では60歳の男性ってもっと若いと思うなあ
読了日:03月18日 著者:有川 浩


コンスタンティノープルの陥落 (新潮文庫)コンスタンティノープルの陥落(新潮文庫)
登場人物が多くてややこしい。コンスタンティノープルって東西南北ややこしい。なのに…止まらない。あれよあれよという間に雰囲気的に勝負が決まってゆく展開に引き込まれてしまった
読了日:03月24日 著者:塩野 七生


レパントの海戦 (新潮文庫)レパントの海戦(新潮文庫)
戦力が集まるまでにあんなに時間かかったのに実際の戦闘はソッコーで終わってしまい…意外に歴史ってそんなものなのでしょうかね。海戦の勝敗そのものよりも、その歴史的意義についての説明のほうがフムフムでした
読了日:03月25日 著者:塩野 七生


読書メーター

2012年2月の読書記録 [読書]

祝・活字中毒脱却!! カバンに本が入っていなくても焦らないことがこんなに心安らかだとは。
ほかにもドイツ語の学習も進まなかったし雑誌の内容も頭に入ってこなかったな~。
こんなふうに波があることも楽しめる年齢になってきました。

…そういう問題!?

読んだ本の数: 2冊
読んだページ数: 496ページ

ハプスブルク家 (講談社現代新書)ハプスブルク家(講談社現代新書)
ロングセラーとして平積みになっていたので気になって購入。20年以上前の本。チェコスロバキアが分裂していないところに時代を感じる…あれだけ長くて複雑な歴史を平易にまとめてあり、しかも使われている日本語が、風格というか品位というか、単に難しいイディオムを濫用したのではなく当意即妙な使われ方で、読んでいて嬉しくなる本でした。新書って本来こうあるべきなのかも。マリア・テレジアがハプスブルクの「終わりの始まり」だったという点も新鮮でした
読了日:02月12日 著者:江村 洋

ルポ東京電力 原発危機1カ月 (朝日新書)ルポ東京電力 原発危機1カ月(朝日新書)
記者会見される側もする側も、それを見る側も最大級にテンパった1か月の記録。何だかもう、その辺の小説よりよっぽどハラハラする。一企業の、ましてや一部の人たちを責めても何の解決にもならないし、もし自分が未曾有の危機管理の最前線に立たされたらと思うと、あれは私の姿なのかもしれないと自省を迫られます。誰があのぐだぐだ会見を責められようか。原発を否定も肯定もしないながら、専門家が内向きになって不正や不備が放置され、それが非専門家の知れるところになったとき、その専門分野の学術的発展さえも阻害されるという指摘は鋭い
読了日:02月25日 著者:奥山俊宏
読書メーター

2012年1月の読書記録 [読書]

毎日寒いですね。でも立春を過ぎると何となく、冬はエンドレスではないのだなという予感のような安心感のようなものを覚えます。インフルエンザも流行っているようですが、受験生はじめ頑張っている人たちがベストを尽くせますように。

1月の私的大事件といえば、会社の帰りに鳳蘭様を目撃してしまったことでしょうか。職場の最寄り駅で、ひときわ大きな大阪弁で話される女性がいるなと思ったら。斜め後ろから見ただけですぐに分かりました、ツレ様。キリッと背筋を伸ばされ、でもすごくリラックスしたご様子で満員の地下鉄に乗り込んでいかれました。でもなんで地下鉄なんて乗ってたんだろう…その場が舞台の一場面に見えるくらいのオーラでした。

大劇場公演を観たけどやっぱりもう一度、ということで星組「オーシャンズ11」も観てきました。日程が進むにつれて皆存分に弾けるようになり、どの場面も濃くて楽しかったな~。星組パワー、たいていのことは成し遂げる、いや力技でやってのける感じ(ジュンコ先生が高笑いをされるという逸話も嬉しかった…勝手に共通点)も健在。途中で「星組大好きだよ~」と心の中で絶叫してました(意味不明)。少しメンバー入れ替わるけど、次はもっと恋愛要素がキッチリある作品も観てみたいです。
マヤさん(未沙のえるさん)への万雷の拍手にも加わることができて、全部の思いを込められたか自信はないけれど、ちゃんとお礼とお別れができたような気がしてそれも良かったです。皆マヤさんに拍手したくて劇場に来ているのでは、と思うくらいの大迫力でした。トップスターのように光のあたる場所ではないけれど、誰もができるわけではない、代わりの利かない貴重な立ち位置を勤め上げられたというのは、やはり大変なことなんだと思います。
昨年の「再会」で紫苑ゆうさんが「年齢のせいか睫毛に糊をつけられなくなってきた」と仰った際、真っ先に思い浮かんだのがマヤさんのことでした。そうか、夢を売るフェアリーであり続けること、毎日舞台に立ち続けることはそういうことなんだと。若ければ若さと闘い、ベテランは闘っていないように見せかけながら、やっぱりいろんなことと闘いながら舞台に立っているんだなあ。楽しい舞台で心からの拍手を送ることができて幸せでした。マヤさんのこれからが、輝きに満ちていますように。金魚は飼うのかな。

さて読書記録。古い順の時系列に並べることもできると判明しました…

読んだ本の数: 5冊
読んだページ数: 1,529ページ

小澤征爾さんと、音楽について話をする小澤征爾さんと、音楽について話をする
村上春樹は正直あまり得意ではないという意識があり、書店の平台を何度かぐるぐると逡巡した末、やっぱりどうしても興味があったので着手。レコード聴き比べも「あははは」と豪快に笑う小澤さんのトークも世界を飛び回る思い出話も面白かったけれど、やはり最後の音楽祭からが本格的にじわじわきました。小澤さんの「あとがき」も想定外のタッチで、まるで一遍の音楽作品を聴き終わったときのような、もしくはひとつの音楽作品がだんだんに出来上がるのを見たような、しっとり良い読後感。今後もっと音楽に向き合っていくのが楽しみになりました
読了日:01月10日 著者:小澤 征爾,村上 春樹


蝉しぐれ (文春文庫)蝉しぐれ(文春文庫)
今年もお正月恒例の再読。ああ毎年お正月にこの読後感を味わえるなんて本当に幸せ。ぐっとくる文章だらけで何度も引き返したりしながらじっくり味わって読みました。泣きポイントは毎年変わるというより増える。だからといって読むのがゆっくりになるかと思いきや、息もつかせぬ展開だったりもするので…ありきたりの感想ですが、やっぱり名作です
読了日:01月13日 著者:藤沢 周平


大阪づくし 私の産声―山崎豊子自作を語る 人生編 (新潮文庫)大阪づくし 私の産声―山崎豊子自作を語る 人生編(新潮文庫)
私にはこの人が分からない。確信犯なのか純粋な創作意欲なのか、天然なのか計算なのか。いちいち物議を醸すけど読めば文句なしに面白い小説。書かねばならないと思ったら、もがきつつがしがし進んでゆく。意志が強いとも言うし思い込みが激しいとも言える。一見ど~でも良いのに気付けば読み進んでしまう大阪の話、深遠な小説論。さすが物書きと思わせる一方で、ただのミーハーにも見えてしまう。頭の中に大きな宇宙を内包する大阪のおばちゃん、とにかく理解の域を超えている…
読了日:01月19日 著者:山崎 豊子


聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)聞く力―心をひらく35のヒント(文春新書)
この人の書く文章は優しくて面白くて、でも簡潔でお気に入りです。聞いたことはある気がするのですが、「自分はインタビューが苦手」をここまで強調する人だとは。でも苦手苦手と言いながらずっと続けているというのは、やはり楽しいお仕事だからなのではないでしょうか。次こそ失敗するかもと思いながらやっぱり続けてしまうというのはすごく分かる気がします。インタビュアーならずとも人と人が接していくうえで示唆となる言葉や対談相手のお人柄が伺えるエピソードなども多く盛りだくさんでした
読了日:01月21日 著者:阿川 佐和子


医療格差  角川SSC新書 (角川SSC新書)医療格差 角川SSC新書(角川SSC新書)
学生時代、大学へ講演しに来た川田さんは、もっと声張って喋れないのかなあと心配になるようなフツーの青年だった。年齢もそんなに違わない人が声を上げ、問題意識を持って代議士になり、国会で代表質問までするようになったのに、同世代の私は何やってるんだろう。賛成・反対はともかく、ちゃんとこの人の考えることや書くことを追っていようと、それだけは最低でもしておこうと思った。ゴールは遠くて結構。整理してロードマップ敷いて、迷いながら軌道修正しながら成し遂げたら良い。で、こっちも傍観者だけにはなったらいけないと思った
読了日:01月29日 著者:川田 龍平


読書メーター

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。