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とにかく飛べ [出先から]

いきなり思い出してビックリしたけど、交換留学でドイツへ向かうべく出発してから先日でちょうど20年だったようです。

当時は流通通貨がユーロではなくマルクで、…と話すたびに、すごく古い時代に留学した人みたいな気分になるけれど、実際インターネットもナローバンドだったし、本当に地球の裏側に行くような気分だったことを思い出します。
ドイツ宛のエアメールの出し方を、それこそネットのない時代に自分で調べて、手紙と一緒に本やお菓子やプレゼントをせっせと送ってくれた友人知人。
現地での何でもない出来事を書いて送ると喜んでくれて、考えもしなかったような質問をくれたりもしました。

ドイツにセミはいるのか。
オリオン座はどの角度に見えるのか。
イースターの前にドイツ人は本当に断食するのか。
ドイツの5月はそんなに美しいのか。
ナイチンゲールは話すように歌うのか。

孤独で不安で押し潰されそうな日々、誰かと繋がっている感覚は勇気の源で、寒くて暗い道も私は元気よく歩くことができました。

そんな日々が待っていることも、自分に何ができるのかも、自分が何に喜び、何に泣くのか、ましてやケルンがどんな町なのかも知らなかった20年前の私。
でも、自分で決めたからには、とにかく飛ぼう、飛び出そう。ぼんやりと考えながら、でもほとんど思考停止の状態で出発したことを今でもたまに思い出します。
飛行機が西へ向かって進むに任せることしかできず頭は真っ白、こんな大胆な決断をしたことに自分で今さらびっくりして我に返ったり、強がって日記を書いてみたり。

難しそうなことでも、とにかくチケットを取って自分から飛び出してみよう、そうすれば運命が押し出してくれる。
今でもそう思えるのは、あの日と、あの日々があるからです。

もう戻ることのない日々、あのころの自分だからこそ経験できた日々。
行って良かったなあ。

…などとカッコ良い感じで綴っていますが、当日は見事に朝寝坊して母に怒鳴って起こしていただいたのでした。熱帯夜だったのかな…
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物語をありがとう [出先から]

緞帳が上がると、真っ赤な絨毯の敷かれた階段に白い衣装のふたりが立っていた
雪の中、幸せそうなふたりを残して緞帳が降りて、鳥肌と余韻がやってきた

本を読まない高校生だったのに、勢い余って独文科に願書を出したのはその次の次の冬だった
ドイツ語を夢中で学び魂を揺さぶる詩に邂逅し恩師を得た

柴田先生は娘役の髪に花をつけるのが好き
…懐かしそうに茶化しながら「再会」で柴田作品の歌を歌う紫苑ゆうさんをうっとり眺めている

ずっと昔、ウィーンの森に響いた銃声から始まった美しい物語
緞帳が上がり、降りたずっと後になっても物語はまだ続いている
きっとまだ終わらない

ゆきちゃん。柴田侑宏先生。
私たちに物語をくださり、ありがとうございました。
あとアザラシのぬいぐるみも。忘れません
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