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物語をありがとう [出先から]

緞帳が上がると、真っ赤な絨毯の敷かれた階段に白い衣装のふたりが立っていた
雪の中、幸せそうなふたりを残して緞帳が降りて、鳥肌と余韻がやってきた

本を読まない高校生だったのに、勢い余って独文科に願書を出したのはその次の次の冬だった
ドイツ語を夢中で学び魂を揺さぶる詩に邂逅し恩師を得た

柴田先生は娘役の髪に花をつけるのが好き
…懐かしそうに茶化しながら「再会」で柴田作品の歌を歌う紫苑ゆうさんをうっとり眺めている

ずっと昔、ウィーンの森に響いた銃声から始まった美しい物語
緞帳が上がり、降りたずっと後になっても物語はまだ続いている
きっとまだ終わらない

ゆきちゃん。柴田侑宏先生。
私たちに物語をくださり、ありがとうございました。
あとアザラシのぬいぐるみも。忘れません
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