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フリーター、家を買う。(有川浩/幻冬舎) [読書]

「世の中は平等なんかじゃない。平等だったら適材適所などという言葉は存在しない。みんなが平等に同じ仕事をして同じ評価をされるはずだ。
 研修で振り分けられたモーレツ社員と要領のいい優秀な社員。将来的にどちらが会社の重鎮になるのかは分からない、しかし少なくとも会社にとってはどちらも必要なのだ。そして社員の側は自分がどれだけ会社に貢献できるかをそれぞれ仕事で主張すればいいだけだ。立ち回りの巧さもがむしゃらな体当たりも能力のうちである」

ご愛読者の皆さま、ご無沙汰しております。久々のブックレビューです。
ええと、いつ以来でしょうか…割とコンスタントに本は読んでいるのですが、記録する余裕がなくて。

昨年「阪急電車」を強力プッシュさせていただいた有川浩の、幻冬舎からの新作が出ました。
今回の主人公は、根性なしで何をしても長続きしない、「イマドキ」の若者。
エリートサラリーマンの父、心の病気にかかってしまった母、遠くへ嫁いだ気の強い姉。
責任感も社会人としての当事者意識もない主人公が、心ない大人たちと心ある大人たちに囲まれて、
だんだんに成長してゆき、最後には本当に「家を買う」までのお話です。

この人のスピード感のある文章、立ち読みだけだとちょっと敬遠しちゃいそう。
文章のリズム感と手軽さだけで読ませるライトノベルのような第一印象を持ってしまう気がします。
でも手に取って読んでみると、スピード感の中にちゃんとリズムも中身もある文章で、
ぐいぐい引き込まれて一気に読んでしまいます。今回も300ページを買ったその日に読了。

「阪急電車」もそうでしたが、世の中をなめたような若者が、
良識ある大人たちと出会い、自分の頭で考えて、腐らずにまっすぐ生きようとする様子が、
イヤミじゃなく書かれているのが良い。
この「自分の頭で考えて」「腐らずまっすぐ」がポイント。

実際にはこんなふうに、フリーターがトントン拍子に家を買ったり、
自分の足で立って社会人としての自覚と素養をめきめきと身に着けたり、なーんて
小説の中だけ、めったにありえない話、…と心の奥底では分かっているのに、
でもこの本の主人公みたいに、後ろ向きにも前向きにも突き抜けて一直線な若者の姿を見ると、
やっぱり世の中、捨てたもんじゃないのかもな、と思わせてもらえます。

フリーター、家を買う。

フリーター、家を買う。

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/08
  • メディア: 単行本


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