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甲子園会館の音楽會 [その他見聞]

留守電を入れていただいたのに惜しくも消去してしまった美声のあの方、「夜のエ○○○○ト(イニシャルE.Y.ね)」ことテノール・畑儀文先生のご案内で、はるばる兵庫・西宮まで演奏会を聴きに行ってきました。
ご縁あって何度かご一緒させていただいている畑先生より、ドイツ語和訳のお仕事を頂戴したのが「マタイ」本番の日。つらつらと仕上げ、モノも言わずにデータごと郵送で納品したところ、「届きました、ありがとう」とのお電話いただいたのに出られなかったんです。その節は失礼いたしました。
で、その訳詞のお披露目となる演奏会、先生が教えておられる武庫川女子大学音楽学部の「甲子園会館の音楽會」シリーズ、「シューマン生誕200年 ロベルトの夢、恋、そしておとぎ話」を聴くために、日帰り弾丸で関西へ遠征してきたのでした。
5月の留守電には「本番についてはまたご案内します」って入っていたのに、その後まるで連絡もなく、これは行ったらご迷惑なのだろうか…とクヨクヨ考えていた前日の夜。サッカーが終わったくらいだから22:30とかかな。「で、明日どうします? いらっしゃいますか?」とかいう呑気な電話がかかってきたのでした。そこで「直前まで連絡よこさないなんて、ひどい」とか強い調子で抗議できれば良かったんですがそんな根性もなく、尻尾を振って「行きます♪」と即答し、12時間後には新幹線に乗っていたという…

会場は、由緒ある甲子園会館。かのフランク・ロイド・ライトの流れを汲む建築で、是非訪れてみたいと思っていたので建物に入れただけでもテンションアップでした。風情のある外観・内装と、何よりお庭がとってもきれい。開放的な窓から外を見たい放題で演奏する側も聴く側も和やかな気分になれます。
演奏曲目は、最初の「トロイメライ」を除けばかなりレアな曲ばかり。タイトルに「夢、恋、おとぎ話」とあるだけに夢見心地な音楽ばかりでとろけそうだったのですが、そのほとんどが30歳を過ぎてからの作品と聞いてびっくり。夢見心地も良いけど、もっと地に足のついた曲もつくってくれたまえ~と突っ込みたくなるようなサウンドでした。

朗読とピアノ(そう、歌がないんです)のためのバラード「美しいヘトヴィヒop. 106」を日本語で上演するための訳詞をお手伝いさせていただきました。ヘッベルというドイツの悲劇作家が書いた詩にピアノ伴奏がついたものなのですが、またこれがわけわからんストーリーで。支離滅裂かつ荒唐無稽。でも物語の色彩がひたすら美しくて、それをどのように朗読用に落とし込めるか悩みながら日本語にしていったのでした。
どんなふうに出来上がっているのか、お客様にちゃんと伝わる日本語になっているのか心配で心配で、当日は朝から胃腸が絶不調、新大阪から移動するのに2回も途中下車してお手洗いに駆け込むほど緊張しました。演奏中も穴があったら入りたいような気分でした。訳した自分の手を離れ、演奏者と朗読者の作品として羽ばたいた「美しいヘトヴィヒ」の物語。もっと味わって聴けたらよかったのになあ。でもすごく貴重な経験をさせていただきました。ありがとうございました。

最後はピアノ連弾と4人の歌手による「スペインの愛の歌op. 138」。畑先生と、同じく音楽学部の先生方による競演で、スペインっぽいんだかドイツっぽいんだか、ドイツ人から見たスペインの景色なのか、バッハの「イタリア組曲」が結局さほどイタリアっぽくないのと似た、アバウトに情熱的なサウンドと詩が微笑ましい小曲集。畑さんの美声は相変わらず心地良く、ず~っと聴いていたくなる歌声です。そこはかとなく漂うヌクヌクとした安心感。遠征した甲斐がありました♪しばらくマイブームは続きそうです。

訳詞をつくるに際して資料をあたって感じたことは、シューマンって作品はきれいなんだけど何だか残念な男なんですよねえ。女心を分かっていなかったり、大人になっても夢見心地な作品ばかりだったり。しゃっきりせんかい!! と肩を揺さぶりたくなる男です。ライン川に身を投げて死のうとしたり、お酒に走ったり。そんな繊細なメンタリティから生まれる優しい曲たち。でも弱ってるときに聴いたら慰められるのかもしれないです。とにかく仕事中心で心身の健康も顧みないような毎日、シューマンのサウンドはマイナスイオンを含む清水のように癒し系でした。

終演後はちゃっかり出演者の皆様の打上げに混ぜていただき、お腹いっぱいで関西を後にしました。
どこでもそうなのかはたまた偶然か、打上げに参加する率って楽器の方より歌の方のほうが高いですよね…後から年齢をお聞きしてビックリしたベテランの先生方、本当に艶やかで力強い美声に感動し、是非お近づきになりたい…と思っていた方々と親しくお話させていただき、これまでのご経験や音楽に対する思いなど拝聴できたばかりか、最後はお酒の力を借りて自分の歌に対する思いや不安を感情のままにぶちまけてしまい、温かいアドバイス(!?)まで頂戴してしまいました。
長く歌っていらっしゃるベテランの歌い手の方々と直にお話ができたのは思わぬ収穫、すごく励まされました。あまり難しく考えず、楽しく歌ってごらんなさい、とのことでした。今もまだ温かい余韻に浸っています。どうもありがとうございました!!
「甲子園会館の音楽會」シリーズはまだまだ続くそうです。また機会があれば聴きに伺いたいです。遠いけどね…
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